日産キックスはもともと日産の海外市場用のSUVとして開発・販売されていましたが、それまで日本国内で販売されていたコンパクトSUVジュークに代わり、2020年6月から日本市場でも販売が開始されました。
キックスの東南アジア向けの車両はタイで生産されており、日本で販売されているキックスもタイで生産され日本に輸入されています。
海外で販売されているキックスはガソリンエンジンが主力ですが、日本で販売されるキックスのパワートレインはe-POWERのみで、グレードも2つしか設定されていません。
今回の記事では、日産が新しく日本市場に投入したコンパクトSUVキックスについてご紹介したいと思います。
※この記事は2021年4月時点の情報をもとに書いています。
キックスのボディサイズ
- 全長:4,290mm
- 全幅:1,760mm
- 全高:1,610mm
- ホイールベース:2,620mm
- 車両重量:1,350kg
- 最小回転半径:5.1m
モデルチェンジ毎に肥大化していくSUVが多い中、キックスは日本で販売されているコンパクトSUVの中にあっても、小ぶりなボディサイズになっています。
特に1,760mmという車幅は、トヨタのハリスクロスの1,765mmを下回り、国産の3ナンバーSUVの中でも最も小さな数値になっています。
日本の道路事情を考えると取り回しの良い車を求める人は多く、キックスのコンパクトさは他のライバルSUVに対して大きなアドバンテージになっています。
キックスのエクステリア
上の写真はキックス「X」で、ボディカラーは「ブリリアントホワイトパール+ピュアブラック」のツートンカラーです。
キックスのボディカラーは、次の9色からと、4種類のツートンカラーから選ぶことが出来ます。
【モノカラー】
- ブリリアントホワイトパール
- ブリリアントシルバー
- チタニウムカーキ
- ラディアントレッド
- ナイトベールパープル
- ダークブルー
- プレミアムホライズンオレンジ
- ピュアブラック
- サンライトイエロー
【ツートンカラー】
- プレミアムホライズンオレンジ+ピュアブラック
- ラディアントレッド+ピュアブラック
- ダークメタルグレー+ピュアブラック
- ブリリアントホワイトパール+ピュアブラック
カラーリングの特徴としては、ピラーを黒くすることでルーフをスポーティーに浮いて見せるフローティングルーフを採用しています。
顔つきで印象的なのは、日産車が採用しているVモーショングリルです。
Vモーショングリルとは日産車のフロントエンブレムをV字型で取り囲むデザインの事で、2010年ごろから様々な車種に採用され、今では日産車の顔としてしっかりと定着しています。
キックスではこのVモーショングリルがフロントグリルを二重に取り囲んでいるので、ダブルVモーショングリルと呼ばれています。
足回りに関しては、「X」と「X ツートンインテリアエディション」はともに55タイヤで17インチのアルミホイールが装着されています。
キックスのインテリア
キックスのインテリアの特徴は、「X」と「X ツートンインテリアエディション」とでは室内の雰囲気が大きく異なるところです。
上の写真は「X」の車内です。「X」は黒を基調としたインテリアカラーで統一されていて、室内にシックでスマートな雰囲気を与えています。
一方、「X ツートンインテリアエディション」の室内は、下の写真のようにブラックとタンのツートンカラーでデザインされ、明るく華やかな雰囲気を醸し出しています。
「X」「X ツートンインテリアエディション」ともに、インパネにはソフトバッドが使用され、本革巻ステアリングが標準装備されるなど、上質感が演出されています。
キックスには電動シートは採用されませんでしたが、「X ツートンインテリアエディション」では、ステアリングヒーターとシートヒーターが標準装備されます。
キックスのパワートレイン
キックスのパワートレインは、e-POWERのみとなっています。
e-POWERとは、ガソリンエンジンは発電用としてのみ機能して、走行時にはガソリンエンジンを使って蓄えられた電力を使いモーターだけで駆動するパワーユニットのことです。
キックスに搭載されているガソリンエンジンは、1.2リットル直列3気筒DOHCエンジンで、最高出力82ps、最大トルク103Nmを発揮します。
このガソリンエンジンは車輪にはつながっておらず、動力用に装着されたリチウムイオン電池を充電する発電機として機能します。
そして、最高出力129ps、最大トルク260Nmのモーターのみで100%駆動するため、電気自動車そのもののハイレスポンスな走りを楽しむことができます。
また、アクセルを戻して減速する際には強い回生ブレーキをかけて発電する仕組みになっているため、市街地走行ならばほとんどブレーキを踏まないで走行が可能です。
キックスのグレード・価格
エンジン | グレード | ミッション | 駆動方式 | 車両本体価格 |
e-POWER | X | ― | FF | 275.99万円 |
X ツートンインテリアエディション | ― | FF | 286.99万円 |
キックスのパワートレインはe-POWERのみで、設定されたグレードも「X」と「X ツートンインテリアエディション」の2グレードのみとなります。
2つのグレードの差額は11万円で、「X ツートンインテリアエディション」には「X」には無いインテリアのツートンカラーの他に、シートヒーター、ステアリングヒーターが装着されます。
キックスで注意しなければならない事は、メーカーオプションの「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)+インテリジェント ルームミラー」の価格は6.93万円、ディーラーオプションの「日産オリジナルナビゲーション」の価格は約24.9万円もすることです。
この「アラウンドビューモニター」と「日産オリジナルナビゲーション」を付けると、「X」の車両本体価格は307.82万円、「X ツートンインテリアエディション」の車両本体価格は318.82万円に跳ね上がってしまいます。
キックスの先進安全装備
先進安全装備 | X | X ツートンインテリアエディション |
プロパイロット | 〇 | 〇 |
インテリジェントアラウンドビューモニター(移動物検知機能付) | △ | △ |
インテリジェントエマージェンシーブレーキ | 〇 | 〇 |
インテリジェントLI/LDW(車線逸脱警報) | 〇 | 〇 |
インテリジェントDA(ふらつき警報) | 〇 | 〇 |
踏み間違い衝突防止アシスト | 〇 | 〇 |
フロント&バックソナー | 〇 | 〇 |
SOSコール | 〇 | 〇 |
ヒルスタートアシスト | 〇 | 〇 |
ハイビームアシスト | 〇 | 〇 |
インテリジェントトレースコントロール(コーナーリング安定性向上システム) | 〇 | 〇 |
オートブレーキホールド | 〇 | 〇 |
インテリジェントルームミラー | △ | △ |
※〇=標準装備、△=オプション装備、―=設定なし
キックスには「プロパイロット」が標準装備されます。
「プロパイロット」とは、「インテリジェントクルーズコントロール機能」(先行車の車速に応じた車間距離を保つように車間制御を行う機能)と「ハンドル支援機能」(車線中央付近を走行するようにステアリングを制御して運転者のハンドル操作を支援する機能)を同時に行うシステムの事を言います。
「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)」「インテリジェント ルームミラー」はセットでメーカーオプションになります。セットオプションの価格は6.93万円です。
キックスの燃費
モード | e-POWER | |
WLTCモード | 21.6 | |
市街地モード(WLTC-L) | 26.8 | |
郊外モード(WLTC-M) | 20.2 | |
高速道路モード(WLTC-H) | 20.8 |
※単位:km/L
キックスの燃費(WLTCモード)は、21.6km/Lです。
しかし、高速道路モードの数値があまり良くありません。
これは、e-POWERの場合、市街地走行時の燃費は良好でも、高速道路では燃費が悪くなるという特性があるからで、新型のノートe-POWERでも同じ傾向が見られます。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
e-POWERをパワートレインとしたキックスは、国産のコンパクトSUVの中でも異彩を放っています。
また、全幅が1,800mm未満というボディサイズも、他のSUVに比べて大きなアドバンテージになっています。
ただし、最大のライバルであるヤリスクロスと比較すると、価格設定が275.99万円~286.99万円と高めなのが気になります。
ヤリスクロスのハイブリッド「FF」の場合、最上位モデルでも258.4万円です。
あとは試乗してみて、e-POWERの走りがこの価格差を上回るものかどうか確認する必要がありますね。
この記事がみなさんのお役に立てばうれしいです。