JALビジネスクラス「フルフラットシート」の評判が良いようです。
JAL国際線のビジネスクラスにフルフラットシートが導入されたのは2013年1月からで、実は世界の航空会社の中ではかなりの後発組でした。
しかし導入が遅れた分だけJALのフルフラットシートは完成度が高く、2013年の「ワールド・エアライン・アワード」では、「JAL SKY SUITE」が「ベスト・ビジネスクラス・エアラインシート」賞を受賞しています。
2010年1月の経営破綻の時にはどうなることかと心配しましたが、JALのサービス面におけるその後の頑張りはすごいです。
今回はそんなJALビジネスクラスの最新型「フルフラットシート」についてご紹介します。
JALビジネスクラス「フル・フラットシート」の特徴
JALのフル・フラットシートは3種類
JAL国際線ビジネスクラスのシートには「JAL SKY SUITE」・「JAL SKY SUITE Ⅱ」・「JAL SKY SUITE Ⅲ」の3種類があります。
現在、国際線のビジネスクラスシートの開発にあたっては、次の2つの異なる考え方があると言われています。
ひとつ目は乗客のプライベート感を高めるためにシートの個室性を強くすること、ふたつ目は乗客同士のコミュニケーションを容易にするためにシートに開放感を与えることです。
シートに個室性を強くするのは、1人で利用することが多くプライベート感を重視するビジネス客のニーズに応えるためです。
シートに開放感を与えるのは、夫婦やカップルといった旅行客を意識した考え方です。
そこで、JALは個室性が高いシートと開放的なシート、さらに個室性と開放性を組み合わせたシートの3種類のフルフラットシートを作ったようです。
B787-8型機・B787-9型機・B777-300ER型機の3つの機材に導入された「JAL SKY SUITE」は、ビジネス客が快適に過ごせるようにプライバシー重視の設計がされています。
B767-300ER型機に導入されている「JAL SKY SUITE Ⅱ」は、同行者とのコミュニケーションが取りやすくなっています。
B777-200ER型機に新しく導入された「JAL SKY SUITE Ⅲ」は、個室性が高いシートと開放感があるシートを組み合わせています。
それではこの3種類のフルフラットシートについて見て見ましょう。
「JAL SKY SUITE」(ジャル・スカイ・スイート)
(JALウェブサイトより)
座席というよりも個室です
「JAL SKY SUITE」のシートは、「座席」というよりも「個室」と言ったほうがいいかもしれません。上の写真のとおり通路に出る部分以外はパーティションに囲まれています。
シートに座ると他の乗客はほとんど視界に入りません。
特に窓際の席とB777-300ER型機にある中央席の乗客は、他の乗客が全く見えませんし他の乗客から見られることもありません。
これは仕事で利用するビジネスマンにはうれしい事です。書類やパソコンを見ている時や食事の時も他人の目を気にしなくて済みます。
また上司と同じ飛行機を利用した場合でも、上司に気を使うことも話しに付き合うこともなく自分の時間が持てそうです。
ビジネスホテルのシングルルームやカプセルホテルに居るような感覚なのだと思います。
また窓際の席とB777-300ER型機にある中央席は、女性の乗客にも人気がありそうです。男性の視線を気にしなくてすみますし、ベッドにして横になった時でも寝顔を見られる心配がありません。
旅行で利用して隣の席に同行者がいる場合には、電動のハーティションを下ろして隣席の同行者ととコミュニケーションがとれるようになっています。
ジグザグ配置なので全席から通路に出られます
(JALウェブサイトより)
「JAL SKY SUITE」のシートは横一列ではなくてジグザグに配置されています。
このジグザグ配置を業界では「スタッガート型」(staggered:互い違い・ずれたという意味)と呼んでいます。
なんでジグザグ配置にしたかというと、ジグザグにすると窓際席とB777-300型機にある中央シート席の乗客が直接通路に出られるからです。
これで窓際席の人も通路側の人を気にせずにトイレに行くことができますし、ベッドにした時でも通路側の人をまたがなくてすみます。
ベッド利用時には専用のマットレスと枕をご用意
(JALウェブサイトより)
「JAL SKY SUITE」のシートは電動でフラットなベッドにすることができます。
180度のフラットなベッドはどうして良いかというと、身体を座り姿勢から開放できるからです。
座り姿勢は身体に負担をかけるのでとても疲れます。座り姿勢で寝ても身体を動かせないので疲れが取れません。
ところがフラットなベッドに横になると身体をリラックスさせることができます。寝返りも打てるので身体に負担をかけずに深い眠りに入ることもできます。
「JAL SKY SUITE」のベッドの幅は最大で65cm、長さは最大で188cmあるので、十分に寝返りをうてる大きさです。
さらに「JAL SKY SUITE」には、適度な反発力により寝返りが楽になり疲れがとれやすい「SKY SUITE仕様エアウィーヴS-LINEのマットレスとピロー」が用意されています。
JAL SKY SUITEが装着されている機材
「JAL SKY SUITE」のフルフラットシートが装着されている機材は、JAL国際線で使用されているB777-300ER型機、B787-8型機の一部、B787-9型機です。
B777-300ER型機
B777-300ER型機は、JALが国際線の長距離路線で使用している大型機です。
座席は「ファーストクラス」「ビジネスクラス」「プレミアムエコノミークラス」「エコノミークラス」の4クラスで運航されています。
2013年から順次「JAL SKY SUITE」を含む新キャビン「JAL SKY SUITE 777」の導入を進めてきて、2015年になって全てのB777-300型機への導入が完了しました。
つまり、JAL国際線のB777-300ER型機を利用すれば、必ずフルフラットの「JAL SKY SUITE」で旅行ができるということです。
B787-8型機の一部機材
B787-8型機は、JALが国際線中・長距離路線で使用している中型機です。
JALでは2014年12月から、B787-8型機の一部機材に「JAL SKY SUITE」を含む新キャビン「JAL SKY SUITE 787」を導入しています。
つまりB787-8型機については、一部の機材にしかフルフラットの「JAL SKY SUITE」が装着されていないということです。
従来型のB787-8とフルフラットシートのB787-8の見分け方
JALの時刻表やwebサイトでは、従来型のB787-8型機とフルフラットシートの「JAL SKY SUITE」を装着している「JAL SKY SUITE 787」との判別ができるように、機材の表記方法を決めています。
下の表がその表記の一覧です。
従来型のB787-8型機は「788」、「JAL SKY SUITE 787」は「SS8」と表記することが書かれています。
下の画像は、冊子やPDFファイルで閲覧できる「JAL国際線時刻表」の一部です。
機種欄に「SS8」と記載があるフライトは「JAL SKY SUITE 787」で運航されています。
下の画像は、JALのwebサイトの航空券予約画面です。
「JAL SKY SUITE 787」の場合には、「SS8 SKY SUITE」と記載されています。
B787-9型機
B787-9型機は、B787-8型機の機体を約6m長くした機材です。
B787-9型機は2015年に入ってから導入されている機種で、現在のところ長距離国際線用のB787-9型機に「JAL SKY SUITE」が装着されています。
「JAL SKY SUITE」が装着されたB787-9型機は、時刻表やwebサイトの機種欄には「SS9」と表記されています。
なお、2017年6月から導入されたB787-9型機の新仕様機には「JAL SKY SUITE Ⅲ」が装着されていて、主に中距離国際線用として使用されます。
「JAL SKY SUITE Ⅲ」が装着されたB787-9型機は、時刻表やwebサイトの機種欄には「SS9Ⅱ」と表記されています。
「JAL SKY SUITE Ⅱ」(ジャル・スカイ・スイート・ツー)
(JALウェブサイトより)
旅行者も快適に過ごせるフルフラットシートです
「JAL SKY SUITE Ⅱ」のシートと「JAL SKY SUITE」のシートのいちばんの違いは、「JAL SKY SUITE Ⅱ」のシートにはパーティションが無いこと。
座席に座った状態でもキャビン全体に視界が利きますし、中央席に2人並んで座れば普通にコミュニケーションができます。
これは装着されているのがB767-300型機だということと関係があるかもしれません。
というのも、B767-300型機はJALが東南アジアやホノルル路線といった中距離路線で使用している中型機。
ビジネス客も利用しますが旅行客も多い路線用の機材なので、プライベート性よりも開放感を優先したような気がします。
またB787型機やB777型機よりも搭乗時間は短いのですが、深夜便もある路線なのでフルフラットシートはとても助かります。
これまでのビジネスクラスのシートよりも広々としているので快適に旅行ができそうです。
「1-2-1」配置なので全席から通路に出られます
(JALウェブサイトより)
「JAL SKY SUITE Ⅱ」は「1-2-1」の配列なので、全てのシートから通路にアクセスできます。
トイレに行く際に通路側の乗客を気にしなくて良く、人が寝ているベッドをまたぐ必要もありません。
ビジネスで利用する場合や個室性を重視する人の場合には、窓際の列の窓に面した席がいちばんプレライベート感が強いので、その席を利用するといいかもしれません。
ベッドとしての利用も快適です
(JALウェブサイトより)
「JAL SKY SUITE Ⅱ」のシートは電動でベッドにすることができます。
ベッドの幅は最大で52cm・長さは最大で200cmあるので、疲れた身体をゆっくりと休めることができます。
エンターテインメントを楽しんだり横になって休んだりと、自分の好きなように機内での時間を過ごすことができます。
JAL SKY SUITE Ⅱが装着されている機材
現在のところ「JAL SKY SUITE Ⅱ」はB767-300型機の一部の機材に装着されています。
B767-300型機の一部機材
B767-300型機は、JALが国際線の東南アジア・ホノルル路線等の中距離路線で使用する中型機です。
このB767-300型機のうち、東南アジアの比較的距離が長い路線とホノルル路線で使用する機材について、2014年から2015年にかけて順次「JAL SKY SUITE Ⅱ」を含む新キャビン「JAL SKY SUITE 767」の導入が行われてきました。
中距離路線用として使われているB767-300型機のビジネスクラスにもフルフラットシートを採用したことからも、JALのサービスに関する本気度が伝わってきます。
ただし現在のところB767-300型機については、一部の機材にしかシートピッチが広い「JAL SKY WIDER」が装着されていません。
従来型のB767-300とフルフラットのB767-300の見分け方
JALの時刻表やwebサイトでは、B787-8型機と同様に従来型のB767-300型機とフルフラットシートの「JAL SKY SUITE」を装着している「JAL SKY SUITE 767」との判別ができるように、機材の表記方法を決めています。
従来型のB767-300型機は「767」、「JAL SKY SUITE 767」は「SS6」と表記することになっています。
JALの時刻表やJALのwebサイトでの表記が統一されているので、フルフラットシートなのか従来のままかの判別が付きやすくなっています。
「JAL SKY SUITE Ⅲ」(ジャル・スカイ・スイート・スリー)
(JALウェブサイトより)
旅行者もビジネス客も快適に過ごせるフルフラットシートです
「JAL SKY SUITE Ⅲ」のフルフラットシートは「リバースヘリンボーン」(herring bone:ニシンの骨)型と呼ばれる配置になっています。
リバースヘリンボーン型とは、窓際の席はやや外側向きの斜めに配置され、中央の2席はやや中央向きの斜めに配置されるシート配置のことを言います。
元祖ヘリンボーン型では、窓際の席がやや内側向きの斜めに配置され、中央の2席がやや外側向きの斜めに配置されていて、全ての席が通路ををはさんでやや斜めに向きあうようなシート配置になっていました。
しかし、リバースヘリンボーン型では窓際の席は通路を背にすることで個室性を高め、中央の2席は斜めに向かい合うことで隣席とコミュニケーションがとりやすい配置になっています。
(JALウェブサイトより)
ただし中央の2席に関しては、上の写真のように可動式のパーティションを利用してプライベート感を高めることも可能です。
リバースヘリンボーン型の配置は、限られたスペースに数多くのフルフラットシートを装着できるという収益確保上のメリットに加えて、個室性が高い座席と開放的な座席の両方を配置できるメリットもあるので、このところ世界中の航空会社で採用されている配置方法です。
「1-2-1」配置なので全席から通路に出られます
(JALウェブサイトより)
「JAL SKY SUITE Ⅲ」は「1-2-1」の配列なので、全てのシートから通路にアクセスできます。
ベッドとして利用する時でも、他の人のベッドをまたぐことなく通路に出ることが可能です。
ベッドとしての利用も快適です
(JALウェブサイトより)
「JAL SKY SUITE Ⅲ」のシートは電動でベッドにすることができます。
ベッドの幅は最大で74cm・長さは最大で198cmあるので、疲れた身体をゆっくりと休めることができます。
エンターテインメントを楽しんだり横になって休んだりと、自分の好きなように機内での時間を過ごすことができます。
JAL SKY SUITE Ⅲが装着されている機材
現在のところ「JAL SKY SUITE Ⅲ」は、B777-200ER型機のリニューアル後の機材とB787-9型機の新仕様機に装着されています。
B777-200ER型機のリニューアル後の機材
B777-200ER型機は、JALが国際線の東南アジア・ホノルル路線等の中距離路線で使用する大型機です。
JALは国際線で使用しているB777-200ER型機11機を、順次「SKY SUITE 777」仕様にリニューアルすることを発表しています。
最初にリニューアルが済んだB777-200ER型機は、2016年6月18日から羽田・バンコク線に投入されています。
その後羽田・シンガポール、成田・ホノルル線、関西・ホノルル線、中部・ホノルル線、羽田・香港線にもリニューアルが済んだB777-200ER型機が投入されています。
従来型のB777-200ER型機とフルフラットのB777-200ER型機の見分け方
JALの時刻表やwebサイトでは、他の機種と同様に従来型のB777-200ER型機と「JAL SKY SUITE」仕様のB777-200ER型機の判別ができるように、機材の表記方法を定めています。
従来型のB777-200ER型機は「772」、「JAL SKY SUITE」仕様のB777-200ER型機は「SS2」と表記することになっています。
JALの時刻表やJALのwebサイトでの表記が統一されているので、従来型なのか最新型なのかの判別が付きやすくなっています。
B787-9型機の新仕様機
B787-9型機は、B787-8型機の機体を約6m長くした機材です。
B787-9型機は2015年に入ってから導入されている機種で、2017年6月から導入されたB787-9型機の新仕様機には「JAL SKY SUITE Ⅲ」が装着されていて、主に中距離国際線用として使用されます。
現在のところ、成田・クアラルンプール線で使用されています。
「JAL SKY SUITE」仕様のB787-9型機と「JAL SKY SUITE Ⅲ」仕様のB787-9型機の見分け方
「JAL SKY SUITE」が装着されたB787-9型機は、時刻表やwebサイトの機種欄には「SS9」と表記されています。
一方、「JAL SKY SUITE Ⅲ」が装着されたB787-9型機は、時刻表やwebサイトの機種欄には「SS9Ⅱ」と表記されています。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
JALのビジネスクラスに装着されている3種類ののフルフラットシートはどれも魅力的ですね。
JALのビジネスクラスは、機内食・エンターテインメントのサービスも優れているので、この3種類のシートが加わればもう言うことは無いでしょう。
ビジネスだけでなくご夫婦の旅行で利用しても、最高の空の旅になりそうです。
JALのビジネスクラスを利用する時には、フルフラットシートが装着されている機材を選んではいかがでしょうか。
この記事がみなさんのお役に立てばうれしいです。
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